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2011年2月20日

2011年2月19日 
講師に東京歯科大学教授 井上 孝先生をお招きした大宮歯科医師会主催の学術講演会に出席させて頂きました。学術部の先生方ありがとうございました。
井上先生はとても著名な方で、歯科雑誌等でよく論文、コラムを読ませて頂いていました。
とても楽しみにしていた講演会であり、受けてみて沢山考えさせられる事がありました。
以下抄録を記載します。

なるほど歯科医療、口腔粘膜からインプラントまで
基礎と臨床の本質、そして将来の歯科医療について

抄録
病態学とは、病気の原因や発生を探る学問です。GTR、エムドゲイン、接着性レジンそしてインプラントなど次々出てくる材料や技法に目を奪われてしまいます。しかし、これらを病態論的に考えれば、如何に生体親和性が良く安全でも、全て自分のものではありません。非自己なのです。歯牙でも齲蝕や歯周病に罹患して、感染象牙質やセメント質となればその部位は非自己ですし、癌になれば生体が作り出した非自己になるのです。非自己であれば生体はそれを排除するように働きます。医療は、非自己を除去し、自己の治癒を助けることと言えるでしょう。歯周ポケットも、細菌という非自己が生体内に入り込んでできた立派な病態です。その上に力という要素が加わり複雑な病態となっています。良かれと思って行う研磨剤を用いたポリッシングで、もし研磨剤がポケットに入れば、立派な異物を伴う病態になってしまうのです。
翻って、歯科医療を見てみますと、欠損をいかにして修復し、審美性を回復するかに主眼が置かれ、診断に関わる検査や治療後の評価に用いる検査がなく、エビデンスを構築するための基盤を持ってこなかったと言えます。つまり病態論を無視してきたことは否めません。
さて、話を戻してインプラントも非自己であることは言うまでもありません。インプラントの目的はインプラントの長期性ではなく、口腔全体の安定度の向上、QOLの維持にあると思います。そのためにはインプラントそのものが病態を生み出す治療であり、非自己であるインプラントと生きている自己がどのように対応するかを考え、理解する必要があります。そうしないと、いわゆるピットフォールに落ち込む可能性があると思います。
100年足らずの寿命の人間が、数億年寿命のあるチタンインプラントにどう対応するか、そして加齢、老化、そして病気が加わった患者に起こるインプラントの推移を考えるべきと思います。つまり、病態を知り、検査を持って適応症を選び、正確な技術で植立し、健康管理(メインテナンス)を行うひつようがあると言えるでしょう。治療終了時に健康であっても長い時間の中で病気となる場合を考慮するということで歯科治療から脱却して、歯科医療にしなくてはならないと思っています。昨今騒がれている医療事故の多くも病態論を知らないためともいえるかも知れません。

これからは歯科医ではなく口腔医にならなくてはいけない。歯科医の仕事を表わす単語をかんがえると、機能、アート、審美、匠とほぼ技術系のイメージがありますが、口の中も当たり前ですが人の器官のひとつであり、全身と密接に関わっています。アートの部分も当然必要ですが、ベースになぜその症状が出ているのかを読み取る医学的知識が必要であると深く感じました。また私は矯正学出身なのですが、改めて矯正って素晴らしいと感じています。
どんなにキレイな被せものでも異物です。ご自分の歯を傷つけず最高の機能と審美性が得られるって素敵じゃないですか(笑)

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すずき歯科・矯正歯科医院 院長 鈴木 茂行
http://www.suzuki-ortho.com/

すずき歯科・矯正歯科医院
院長 鈴木 茂行

【経歴】
1988年
日本歯科大学(東京校)卒業
1988~1993年
日本歯科大学矯正学教室
1993~1995年
目黒区審美歯科勤務
1995年
鈴木歯科・矯正歯科医院

【所属学会】
・FACE
(The Foundation for Advanced
Continuing Education)
 USA矯正学コース修了
・日本歯科臨床研究会矯正学インストラクター
・日本矯正歯科学会
・日本口腔衛生学会
・日本先進インプラント医療学会

【趣味】
サーフィン
お神輿