2010年8月アーカイブ

電解中性殺菌水

病院は清潔でなければいけないですよね。
病院に行って病気をうつされてはたまりません。

院内感染を起こさない為に医療従事者はエビデンスに基づいた対策を講じています。
スタンダードプレコーションと言いますが
「すべての患者さまは未同定であり、感染の可能性のあるものとして考え、体液、血液、病理組織、抜去歯は感染の可能性のあるものとして取り扱い、医療行為前に感染を確認する検査を行わずとも、すべての患者さまに適応する。」ものです。

歯科の治療は常に体液(唾液・血液・創からの滲出液)にさらされています。
当然使用した器具は、完璧に滅菌・消毒されなければいけません。
耐熱性のあるものはオートクレーブ(高圧蒸気滅菌)、ないものはEOガス滅菌または薬液による消毒。可能なかぎりディスポーザル製品の使用、スリーブによるカバー等色々使用し対策を講じていますが、何か足らない気が。。。

そう「水」です。
歯科治療ではいろんな場面で「水」を使っています。
・歯を削るとき
・うがいのとき
・お口の中を洗うとき
この水は治療用チェアー(歯科ユニット)から出ています。

ここで少しショックな話ですがアメリカCBS、ABC(1999)のレポートを紹介します。

Dirty Dental Water
20/20Finds High Bacteria Levels
歯科医にかかろうとしている我々にとって非常にショックな事です。
一連の治療で使われている水は大量の細菌を含んでいるということを想像してみて下さい。ある専門家はこの水を沼の青みどろになぞらえています。
アーノルド・ディアスはこの問題がどこまで広がっているのかを調査しました。20/20による調査の結果、我々は使用水に含まれる驚愕の細菌レベルを明らかにしました。テストが行われたサンプルの約90%は米連邦政府の飲料基準に達しておらず、また、その2/3は前回の患者の唾液からでた、口内バクテリアをも含んでいるのです。
このテストはまた、多数の歯科医の水と、公衆トイレの水とを比較してみました。その結果殆どの場合、患者の治療に使われる水は公衆トイレの水よりも汚いということがわかったのです!

設備形状における問題
なぜ歯科医の水は細菌にまみれているのでしょうか?その問題は歯科医療器具の配水形状に起因しています。椅子とそれにつながれている医療器具の下に、一連の処置に使われる水をためた管が通っています。
それらの器具が使われていない時、その水は管に沈滞し淀んでいきます。少数の自然に発見される環境上の細菌は、すばやく繁殖し配水管の内壁に付着します。そして再び器具が使われた時、その細菌は患者の口の中にどっと流れ込むことになるのです。

内在的危機
ルイスビル歯科大学の微生物学者であるロバートスタット教授は国中の60件以上の歯科医の水を検査しました。その水から検出された有機物は環境上の細菌であり、またそれは概して殆どの人々には無害であるとのことでした。しかし彼はそこで「もし健康な状態であっても、このレベルの細菌を身体に取り入れるべきではない。設備に留意すべきだ。」とも言っています。
この問題について研究し著書も出している歯周病学者のジョージ・メリジョン医師はこの細菌を、特に免疫力の弱い人々にとって内在的に発病の危険性を孕むものであると説明しています。

つまり健康な人であれば問題ないレベルではあるけれど、歯科ユニットからでる水は完全に水質汚染されているということになります。
日本の法律では水1ccあたりに菌が100個以内でなければいけませんが、東京医科歯科大学(2000)の調査では菌が10万個以上の場合もあると報告されています。
汚染された細菌だらけの"細菌水"での治療ですね。


当医院では1998年より電解中性殺菌水による治療システムを導入しております。
電解中性殺菌水は人間の血液中にある、免疫成分の次亜塩素酸(HCLO)という成分を高純度の塩と水を電気分解して作った電解機能水です。エイズウィルス、MRSA、インフルエンザ、黄色ブドウ球菌にいたるまで、さまざまな細菌・ウイルスに対する殺菌効果が確認されています。
むし歯と歯周病は細菌による感染症ですが、近年この細菌が歯茎から血液に入ったり気管支から入ったりすると、
・高血圧
・誤嚥性肺炎
・心臓疾患
・ピロリ菌感染胃炎
・心内膜症
・関節炎 その他
の原因になることが明らかになりました。


当医院では治療中のお口の中は限りなく無菌状態に近づきますので、感染のご心配はご無用です。

感覚的にもまえの患者さまの唾液の成分が混ざっているなんてイヤですよね。

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顎関節症のホントの話 その2

前回では関節円板の変位は戻らないのに痛みは消える。
けれどクリック音は残ると言うところまでお話ししました。

クリックに関しては、関節内に起こっている問題の指標にはなりますが、関節症の重症度とは必ずしも一致しません。また、完全に消失させることはほとんど不可能な為、機能不全を伴わない場合は治療の対象にしないのが最近の考え方です。

その背景には1990年代アメリカにおいて数万人が人工関節円板置換術(外科手術)を受けましたが、後遺障害のためにほとんどの人工円板は除去されることとなってしまいました。
訴訟の山となり、後遺症に悩む患者さま達によりJJAMD財団が設立されます。
以下その声明です。

現在、顎関節症に関しては多くの混乱と論争があります。専門の治療科がない、コンセンサスがとれていない、保険を利用したくても医学的な必要性が認められず、世間に受け入れられる保険のプロトコルもありません。それでいて疫学調査ではTMDを患っている患者は人口のかなりの割合を示しているのである。
顎関節は医学と歯学の間の割れ目に落ちてしまった癒し芸術の腹違いの子のようなものである。その結果、顎関節に関する問題は健康管理の担当者やマスコミから適切な敬意や配慮を受けていません。患者は十分な知識が不足しているため、高額な費用のかかる診断と治療を授かるために専門家と専門家の間をピンポン玉のように行ったり来たりし、治療したにもかかわらず残っている無数の身体症状に対して医科での診断を受けたあげく「精神的な歯科領域の問題」という分野に送り込まれてしまいます。
TMD患者はしばしば家族、友人、仕事関係者から見捨てられます。さらに社会保障の権利も奪われることになりさらに罰を受けることになります。患者の慢性化した痛みや機能不全の結果、生産性が損失し社会共同体全体に影響を及ぼします。環境は著しく劣悪で悪夢としてすべてに関わってきます。
JJAMD財団は顎関節症が美辞麗句により泥沼に落とされてしまったものという信念のもと1982年に設立しました。
JJAMDは顧問議会で患者の痛みや高くついた健康管理を解決するための活動を続けていきます。

政府の対応としては1996年5月にアメリカ国立衛生研究所(NIH)の声明が発表されました。

NIH声明を発表するにあたり連邦議会としてカンファレンスを15名の専門家の発表、23名のエキスパートの報告、1083名の関係者の参加者により行いました。

声明の要旨
1 TMDの初期治療として、他の方法より優れていると認められる治療法は無かった。加 えて、それらの治療法が、プラシーボを使った場合や治療をしなかった場合に比べて、 より有効であるかは未確認である。ほとんどの場合、保存的方法で症状の改善や寛解が 得られるという統計的研究からみて、大多数のTMD患者では非侵襲的で可逆的処置を 適用すべきである。

2 いくつかの一般的に信じられている考えには、それが正しいと信ずるに足るデータが 存在しない。例えば、歯科矯正治療はTMDを予防するのか、悪化させるのか、引き金 を引くのかを判断するに足るデータは存在しない。現在のデータからすると口腔外科的
 療法と咬合を恒久的に変化させる治療法は推奨されない。

3 痛みと機能障害を持つTMD治療の最も有望なアプローチは、エビデンスに基づいた医 療と患者中心のケアの結果得られるだろう。休養と行動認知療法は慢性疼痛のコントロ ールに効果的である。

と言うものだったのです。
つまり・・・お恥ずかしい現状ですが
実は顎関節症に関して確実にわかっていることは何もないということなんです。
ですが大規模な疫学・統計調査の結果、顎関節症の症状の出現はほとんどの例で一時的であり、再発することもあるが9割近くの例で症状が重くなることがないということが世界的に明らかになったのです。

じゃあ口が開かなくても、痛くてもただ時が過ぎるのを待っていれば良いのでしょうか?

次回は治療法について考えてみたいと思います。

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口臭について その1

口臭とは呼気(吐く息)にのって出る悪臭を言います。

近年、口臭への関心は異常に高まり、口臭で悩む人は急速に増加しています。

そんな患者さまを"口臭症"と診断しますが、状況は単純ではなくさまざまな要因が絡んでいるのですが大きく二つに分類出来ます。

a 他臭症

他人が感じる現に悪臭を発生している人で、口腔内あるいは内科的に症状があるような、臭いの発生源が顕在化している場合です。

b 自臭症

他人が臭いを感じないのに、当人が「自分の息が臭い」と自意識過剰になっている場合です。

他臭症は呼気に悪臭成分が混在していますので、その原因を探り、対処すれば全て治癒しまですが自臭症は、誰かから「口が臭い」と言われた時に端を発し、さらに本人も「悪臭を感じた」ときに輪をかけて気にするようになり、人に会う時などかrそれが最高潮に達してしまい 自意識過剰症=自臭症になってしまうケースが多いようです。

時代の流れと言いますか、清潔志向になりすぎた生活の副産物かもしれませんね。

ここで臭い発生のメカニズムを見てみましょう。

タンパク質、アミノ酸が嫌気性菌によって酵素的に分解されてアミン、アンモニア、インドールなどが産生されます。またイオウ含有アミノ酸であるシステインやメチオニンが生体内、あるいは嫌気性菌により分解されて揮発性イオウ化合物(VSC),硫化水素、メチルメルカプタンなどが産生されます。

あるいはグルコースやグルタミン酸などが、嫌気的に分解されて生じる酢酸、酪酸等や多量のアルコールを摂取した時にでるアセトアルデヒドも口臭になります。

大雑把に言ってしまえばタンパク質(汚れ)を嫌気性菌が分解した結果悪臭が発生します。

口腔内では 歯科疾患/ポケット カリエス

        口腔内衛生/歯垢 ペリクル 唾液 舌苔 口内炎

        不適合な詰め物

呼気からは 内科疾患/糖尿病 腎不全 肝不全 腸閉そく

        飲食物/ニンニク アルコール 喫煙

        服用薬/アリナミン ビタミンB1 漢方薬

        耳鼻科疾患/臭鼻症

などが絡み合って臭いを発します。

統計では口臭の約80%が口腔内由来です。

つまりお口のなかが清潔であれば口臭の心配はほとんどなくなりますね。

口臭が気になる方はまずは徹底的にお口のなかをクリーニングしましょう。

それでも気になる方には口臭測定機で数値化してみてはいかがでしょうか?

あと、起床時に多少臭うのは生理的口臭と言って誰でもありますので心配いりませんよ。


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顎関節症のホントの話 その1

口が開かない、アゴが痛い、しゃべりずらいと顎の不調を訴える方が近年増加傾向にあります。
顎関節症と言う病名が一般的になったのは、80年代のアイドル森高千里さんが顎関節症の為コンサートを中止した頃からでしょうか?
なぜ森高さんは顎関節症になってしまったのでしょうか?後ほど考察してみましょう。


さて最近まで顎関節症はかみ合わせが原因と考えられていました。
その解釈は

かみ合わせ・歯並び・精神的緊張などにより
関節円板(下顎の動きを滑らかにし骨を保護する座布団のようなもの)の前方転位
あるいは 不正咬合が完成する

顎関節部に何らかの異常が生じる

顎関節症になる

・・・と説明している教科書が存在し、またそう考えている歯科医師が多数います。

そこで治すには円板のズレと咬合を変えるために
・スプリント療法
・咬合調整
・親知らず、転位歯の抜歯
・歯列矯正
・外科矯正
・人工関節円板置換術

等の処置が行われていました。
しかしながらすべてを否定するわけではありませんが上記治療後の悪化例・再発例が大学病院に紹介されるケースが後を絶ちません。

なぜ?ここでちょとそもそも顎関節症はどう診断されてきたかを考えてみましょう。
教科書的には
・開口障害 
・クリック
・疼痛
が認められ程度によってⅠ~Ⅴ型に分類され、確定には画像診断が用いられました。
1970・80年代頃より断層撮影・関節腔造影・CT・MRIなどの画像診断がはじまり、関節円板の位置が診断上重要であると位置づけられました。
しかしながら30年経過し画像診断の進歩の結果、皮肉にも
円板は元に戻らないのに痛みがなくなることが判明したのです。
観察例が増えるにつれて関節円板の位置はクリックには関与するが開口障害や疼痛には関連が薄いことが露呈しました。
基本的に関節円板は無血管組織であり痛みは感じません。
痛みは関節胞とか周囲組織が感じているのです。
つまりMRIを撮っても円板の変位を見るだけではあまり意味がないと言えるでしょう。

でもMRIで判ったことがあります。
円板は前方転位したままですが十分に開口し疼痛もない、でもクリックは残っている。
もう生活には困らない状況です。
これは円板が転位しても、条件が良いと負荷を受けることにより円板後部組織に線維化や硝子様変性が起こり、この部が円板と同様な役割をするようになり、これを偽円板とよび、適応変化現象と考えられています。

人間の身体 ブラボーです。

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ヒアルロン酸

歯科医院でヒアルロン酸?

かなり違和感を覚えると思うのですが、お口まわりのヒアルロン酸注入は実は歯医者さんの方が美容外科、美容皮膚科の先生方より痛くないかもしれません。
と言うのも、美容外科でのヒアルロン酸注入では無麻酔もしくは表面麻酔(これが効くまでに1時間位かかる)で行います。
まあそれでも我慢出来ない痛みでは当然ないのですが。。。

に対し歯科医院での注入では、お口の中に麻酔を打ち(歯科治療ではいつも行っていることです)ヒアルロン酸を注入する部位の神経のもとをブロックしてから行いますので痛みをほとんど感じずに済みます。
みなさんの中にも歯科治療で麻酔したら、知らない間に頬の内側を噛んでいたけど痛くなかった、下の歯に麻酔をしたら唇までシビレたなどの経験があると思います。
そんな状況を瞬時につくり施術しますので、歯科での方がより快適に受けていただけます。

では歯科でどこまで対処出来るかですが

法令線
口周辺のシワ
唇の輪郭
唇のボリュームUP
マリオネットライン
オトガイ(下顎の先端)

上記部位は得意です。

また矯正後や加齢により歯茎のラインが変わり歯と歯と歯茎の間の黒い影(ブラックトライアングル)が目立つような時にもヒアルロン酸で歯肉を持ち上げ影をなくすことも可能です。
もちろん歯周ケアがしっかり出来ている事が絶対条件になります。

その他いろいろな使い方がこれから出てくると思います。
非常に楽しみです。

当医院では健康と口元の美しさの創造をテーマに仕事に取り組んでいます。
ヒアルロン酸イイです。


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鈴木歯科・矯正歯科医院

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すずき歯科・矯正歯科医院 院長 鈴木 茂行
http://www.suzuki-ortho.com/

すずき歯科・矯正歯科医院
院長 鈴木 茂行

【経歴】
1988年
日本歯科大学(東京校)卒業
1988~1993年
日本歯科大学矯正学教室
1993~1995年
目黒区審美歯科勤務
1995年
鈴木歯科・矯正歯科医院

【所属学会】
・FACE
(The Foundation for Advanced
Continuing Education)
 USA矯正学コース修了
・日本歯科臨床研究会矯正学インストラクター
・日本矯正歯科学会
・日本口腔衛生学会
・日本先進インプラント医療学会

【趣味】
サーフィン
お神輿