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2010年8月11日

口が開かない、アゴが痛い、しゃべりずらいと顎の不調を訴える方が近年増加傾向にあります。
顎関節症と言う病名が一般的になったのは、80年代のアイドル森高千里さんが顎関節症の為コンサートを中止した頃からでしょうか?
なぜ森高さんは顎関節症になってしまったのでしょうか?後ほど考察してみましょう。


さて最近まで顎関節症はかみ合わせが原因と考えられていました。
その解釈は

かみ合わせ・歯並び・精神的緊張などにより
関節円板(下顎の動きを滑らかにし骨を保護する座布団のようなもの)の前方転位
あるいは 不正咬合が完成する

顎関節部に何らかの異常が生じる

顎関節症になる

・・・と説明している教科書が存在し、またそう考えている歯科医師が多数います。

そこで治すには円板のズレと咬合を変えるために
・スプリント療法
・咬合調整
・親知らず、転位歯の抜歯
・歯列矯正
・外科矯正
・人工関節円板置換術

等の処置が行われていました。
しかしながらすべてを否定するわけではありませんが上記治療後の悪化例・再発例が大学病院に紹介されるケースが後を絶ちません。

なぜ?ここでちょとそもそも顎関節症はどう診断されてきたかを考えてみましょう。
教科書的には
・開口障害 
・クリック
・疼痛
が認められ程度によってⅠ~Ⅴ型に分類され、確定には画像診断が用いられました。
1970・80年代頃より断層撮影・関節腔造影・CT・MRIなどの画像診断がはじまり、関節円板の位置が診断上重要であると位置づけられました。
しかしながら30年経過し画像診断の進歩の結果、皮肉にも
円板は元に戻らないのに痛みがなくなることが判明したのです。
観察例が増えるにつれて関節円板の位置はクリックには関与するが開口障害や疼痛には関連が薄いことが露呈しました。
基本的に関節円板は無血管組織であり痛みは感じません。
痛みは関節胞とか周囲組織が感じているのです。
つまりMRIを撮っても円板の変位を見るだけではあまり意味がないと言えるでしょう。

でもMRIで判ったことがあります。
円板は前方転位したままですが十分に開口し疼痛もない、でもクリックは残っている。
もう生活には困らない状況です。
これは円板が転位しても、条件が良いと負荷を受けることにより円板後部組織に線維化や硝子様変性が起こり、この部が円板と同様な役割をするようになり、これを偽円板とよび、適応変化現象と考えられています。

人間の身体 ブラボーです。

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すずき歯科・矯正歯科医院 院長 鈴木 茂行
http://www.suzuki-ortho.com/

すずき歯科・矯正歯科医院
院長 鈴木 茂行

【経歴】
1988年
日本歯科大学(東京校)卒業
1988~1993年
日本歯科大学矯正学教室
1993~1995年
目黒区審美歯科勤務
1995年
鈴木歯科・矯正歯科医院

【所属学会】
・FACE
(The Foundation for Advanced
Continuing Education)
 USA矯正学コース修了
・日本歯科臨床研究会矯正学インストラクター
・日本矯正歯科学会
・日本口腔衛生学会
・日本先進インプラント医療学会

【趣味】
サーフィン
お神輿